えぼりゅーしょん(3)

 残り時間を気にしてか、マイザーΗは振り払うかのように飛び道具をバラ撒いて牽制してきました。それでも一つ一つ丁寧に避けてつつ、懐に飛び込むチャンスを伺う自分。絶望と希望が交錯する中、相手の挙動を見続けました。残りタイムが二桁をきった時、マイザーΗの立ち攻撃の隙をついて前ダッシュを敢行。ダッシュ近接には遠い間合いのその距離でボムを投擲。短い距離を飛来したボムはマイザーに直撃し、リードを奪い返しました。
「よっしゃ!!」と勝利を確信した次の瞬間、画面一杯に広がるマイザーの機体。前ダッシュからの小さな光弾がアファJ/Cの機体に吸い込まれていきました。その直後、無常にもタイム・アップ。結果はわずか2%の差の敗北でした。
 全身が雷に打たれたように思わず天を仰ぎました。あと少し!もう少しで勝てたのに…!!しかし、その悔しさという痺れが退いていくと、後に残ったものはなんともいえない充実感でした。
 アファJ/Cでの遠距離戦闘。自分の標題として目指したものが、自分自身の中でその可能性を垣間見たのです。まだ強くなれると知ってしまったらもうやめられない…。進化という名の麻薬に囚われながら電脳戦記は続いていくのでありました。